ブドウの木からワインへ

ヴーヴ・クリコの6つの圧搾センターで、ブドウの房全体が一緒に圧搾されることで、果汁になって、黒いブドウの実から出る色を付けられていないブドウ液を得ることができます。 各シャンパーニュのテロワールのはっきりした特徴の利点を全て取り入れるために、ヴーヴ・クリコでは、29回の圧搾の一つにおいて、各ブドウ品種や区分、クリュによって別々のワイン生産プロセスを行っています。その結果、圧搾プロセスを開始すると、各ブドウの起源のユニークな特徴を注意深く見ることができます。 1マルク（marc。ブドウ4000kgに対する圧搾単位）について認められたブドウ液最大生産量は、2550リットルです。これは、あとで「キュヴェ」（最初の最もバランスのとれた果汁）のうち2050リットル、「タイユ」のうち500リットルに落とすこともできます。品質のことを考えて、ヴーヴ・クリコは通常、「キュヴェ」だけを用います。

圧搾で得られたブドウ液は15～24時間、「デブルバージュ（澱引き）」（ブドウ液の中の塊や不純物が取り除かれて桶の底に沈めさせるプロセス）のために桶に残されます。 アルコール発酵を起こすために、ステンレス桶の中の澄んだブドウ液に天然酵母が加えられ、16℃で安定して維持されます。このアルコール発酵を8（または5？）～10日行うと、アルコール度数11%の泡のないワイン、つまり発砲していないワイン、が得られ、その後、ワインメーカーによる最初のブラインドテイスティングが行われます。 約700サンプルがテイスティングされます。ヴーヴ・クリコでは2度目の発酵を行います。これはシャンパーニュの手法において必須ではありませんが、リンゴ酸を乳酸に変えることでワインの酸味を減らすことができます。このプロセスは、マロラクティック発酵として知られ、ヴーヴ・クリコのスタイルを決定するのに重要な役割を果たしています。ワインの割合的には少しだけが発酵され、大きなオーク樽の中で熟成されて複雑さを増します。

ヴーヴ・クリコのセラーマスターディディエ・マリオッティの指導下にある一流の試飲会（12人のワイン醸造家で構成）が、アッサンブラージュ予定のワインを試飲するために11月から3月にかけて開催されます。 700～800種類のワインが試飲され、カテゴリーごとに等級が付けられました。各ワインは、その年のキュヴェ、リザーブワイン、あるいはヴィンテージワインに影響し、またメゾンの品質基準から外れるものは除外されます。

アッサンブラージュは微妙な技術です。今日のようにワインを評価するのが必要なだけではなく、今後どのように変化していくかを予想することもできます。アッサンブラージュのチームは、その年の収獲から出来たワインに照らしてヴーヴ・クリコのスタイルを保つ典型的な味わいにするために、10～20年間保存されたリザーブワインを念入りに調べることもしなければなりません。 ヴーヴ・クリコ・ブリュット・イエローラベルは、約50の異なるクリュのものを使用してブレンドされており、そこにリザーブワインを25～40%加えています。出来の良い収獲年なら、テイスティング委員会（セラーマスター、ワイン醸造家、代表者で構成される）が、ヴィンテージワイン、つまりその収獲年のワインだけで構成されたシャンパーニュを造ることを決定します。ヴィンテージ、ヴィンテージ・リッチ、ラ・グランダムなどがあります。こうしたワインは特段に良く熟成していく可能性を持っています。

その後ワインが抜かれたりボトルに詰められ、瓶内二次発酵を始めさせるために酵母と一緒にドサージュ液が加えられます。気泡のないワインが発砲するようになるステップです。二度目のアルコール発酵により、密封されたボトル内で過剰圧力を作り出し、これによってワインに気泡を生じさせます。

この後、ボトルは暗い場所に水平に置かれて熟成されます。このステップは、酵母のゆっくりとした自己分解が品質に欠かせないため、非常に重要です。ボトルはヴーヴ・クリコのギャロ・ロマンと、ランスにある旧式の白亜質のトンネル倉庫、クレイエルで、光や振動から安全に遠ざけて10～12℃の一定温度で熟成されます。 ヴーヴ・クリコでは、ヴィンテージではない物も全て短くとも3ヶ月、ヴィンテージワインであれば最低5年は熟成されます。ラ・グランダムは少なくとも7年間は熟成されています。 もっとヴーヴ・クリコのクレイエルについて知る

完璧主義者のマダム・クリコはこう書いています。「私たちのワインは味覚だけではなく目も満足させるものでなければなりません。」そのためマダム・クリコは、澄みきったワインにするために、1816年、ピュピトルの先駆けとなった初の動瓶台を発明します。この方法は後に全てのシャンパーニュで採用され、今日もなお用いられています。 ルミアージュ（動瓶）は、澱抜きを簡単にするために、死んだ酵母の沈殿物（澱）をボトルの首に集めることにあります。毎日、一回以上のローテーション（4分の1、8分の1、16分の1だけ瓶を回す）が必要です。瓶の角度が次第に傾いていくように行われます。 現代ではルミアージュは自動化されています。大瓶とラ・グランダムの小瓶だけは手作業で行われています。伝統的なノウハウである動瓶は、正確で魅了される作業ですが、多くの経験が必要です。当メゾンが保存し付立てていこうとしている貴重な無形の財産となっています。

ボトルはマイナス26℃まで冷やされます。氷のブロックの中に置かれ、キャップを外した時に沈殿物が圧力で追い出されます。このプロセスはデゴルジュマンとして知られます。 手作業によるデゴルジュマン（dégorgement à la volée）は今日も行われており、大量のときや特別注文では悪い列だけで行います。

次のステップはシャンパーニュへの糖分の添加です。この時点ではまだドライワインの状態です。糖分の添加（門出のリキュール「liqueur d’expédition」と呼ばれる）は、いわゆるリザーブワインに混ざった砂糖を追加することで、この質によって、ブリュット、セック、ドゥミ・セックなど、シャンパーニュのタイプを決定します。 ヴーヴ・クリコのシャンパーニュは非常に軽くしかドサージュされていません（イエローラベル ブリュットで1リットル10g）。

ボトルは栓をされ、「ミュズレ」と呼ばれる針金を捩った籠のようなものがコルク栓の上に被せられてマダム・クリコの肖像が描かれた王冠を固定します。ヴーヴ・クリコのコルク栓は厳しい試験に合格しています。 数回にわたって追加で休ませてアロマの溶け込みを仕上げたら、透かしてチェックし、キャップシール、ネックラベル、ラベル、バックラベルを付けて製品となります。ヴーヴ・クリコはその奇抜なスタイルを包装でも進化させ、特別な様々な革新と創作に合わせています。 紙箱に詰められたり、特定のキュヴェ用の木箱に箱詰めされてから発送されます。